蕎麦ってなあに

   
 
タデ科ソバ族のソバ(学名Fagopyrum esculentum M. 英語Buck Whweat,独語Buchweizen、仏語はSarrasin)は 寒冷の地で蒔かれて3日で発芽し、  20日足らずで蕾を付けるという。
 咲いた花は75日で結実するが収穫出来るのは開花した花の僅か1割に過ぎないとか。
 ソバは開花数に比し受精歩合がイネやムギよりも極めて低い「低稔性」の作物である。(そばの無駄花) 
 
  ソバは普通ソバと韃靼ソバに大別される。
 
  ソバは肥料の吸収力が強く、寒冷な気候に耐え、痩せた土地や酸性土壌にも強く、温度格差のあるところでも
  よく育つ。
  しかし、連作すると肥料分がなくなり育ちが悪くなる、ソバにも多少の肥料が必要である。  
    
          
  ソバの茎と花
    
ソバの茎は主茎と何本かの分枝に分かれ、それぞれの先端に多数の小花が集合した花房をつけるが
    花の開花は一斉ではない。

    
普通は主茎、一次分枝、二次分枝の順に下の方から上に向かって花房が付き、早く付いた花房から開花が始まる。
    ソバの花は稲や麦と違い、最初の開花から咲き終わるまで、長期間咲き続ける=無限花序と呼ばれる。


  ソバの花の構造
    ソバの花は白い5枚の花びら(植物学的には花被)があり、それに囲まれて外側に5本、内側に3本
    合計8本の雄しべと、真ん中には基部に三稜形の小房があって先が3本に分かれて3つの柱頭から
    できている雌しべと蜜を出す8〜9個の蜜線からなっている。
 
   ソバには2種類の花が咲く。 
    ソバには長柱花(雌しべが長く、雄しべが短い)と短柱花(雌しべが短く、雄しべが長い)が咲く。
    一本のソバ茎には長柱花か短柱花か、どちらか一方の型の花しか付かない(その比率は1:1)。
    ところがソバが結実する為には異なる花型間の受粉が必要で、1本のソバ茎だけでは結実しない。
    また受粉の為には昆虫による媒介(虫媒)や風による媒介(風媒)が必要である、この為にソバの
    花には個の蜜腺があり、ハチやアブを誘うようになっている。
    また風による媒介により近くに別の種類のソバがあると混血してしまう。
 
   ソバの蜜
    ビタミン、ミネラル分を多く含み、味は独特の苦味があり、見た目には黒砂糖のように黒い。
    特に「ルチン」と言う物質を多く含み、これが心臓 循環器系の疾患や高血圧に良いと言われている。
    朝起きた後にスプーン等に2〜3杯飲むと良いと言われている。

   ソバの古里
    ソバの原産地は紀元前4000年頃の中国雲南省とする説が有力である、
    日本への伝来は朝鮮半島経由で約3000年前の縄文晩期に伝来食として入り、5世紀頃からソバ
    栽培が始まったと推測されている。米より1000年前に渡来したようだ。
     北海道の渡島のハマナス遺跡から出土した.ソバの炭化種子は縄文時代前期と推定されている。
     また短花柱花の大きな花粉と長花柱花の小さな花粉の遺跡は亀ヶ岡遺跡、加曾利湿原、深泥ケ池、
     板付遺跡など多くの縄文期遺跡から発見されている。
    天正天皇の養老6年(722年)に救荒作物として、ソバの栽培が勧められた(続日本記に記載)。 
                                                                                 
                
                               (背景写真はボタンそば)    参考文献 たかがそば、されど蕎麦(山本俊明)ソバ学大全(俣野敏子)蕎麦辞典(植原敏郎)蕎麦の事典      (新島繁)蕎麦匠心得、日本製麦協会:そば関係資料

                               蕎麦噺